磯貝 浩一郎、koichiro isogai

ドイツ、アートディレクター日記

海外で、特にクリエイティブ職で働きたい人たちに向けて

遠隔(リモート)で仕事をするということ

最近はフリーランスの仕事でも、リモート(遠隔勤務)が許される場合が多く、自分の住む都市のクライアントに限らなくて済むのは、選択肢の可能性が広がる。

 

ドイツは、イギリスやフランスと違い、近代まで国家統一していなかったその歴史から、中規模都市が国中に分散していて、それぞれが独立した非一極集中型の国で、つまり都会と呼べるような都市ががいくつもあるのが特色である。

 

私の住むハンブルグは基本的に、出版社やテレビ、広告代理店、制作会社などが集中しているメディアの中心地ではあるが、他の都市にももちろんクライアントになりそうな会社・団体はある。

 

今回のクライアントは、フランクフルトとベルリンに社を構える広告代理店で、仕事は、ドイツ最大手の電話会社が運営する、オンデマンドムービーのプラットフォーム作成である。私は美術担当のアートディレクターとして2~3ヶ月間の契約で雇われて、自宅のあるハンブルグからベルリンとフランクフルトにいる同僚と、オンラインで仕事をしている。

 

一昨年まで働いていた代理店でも、日常的に遠隔で仕事をしていた。ここドイツにある代理店から、東ヨーロッパやインドのようなITリテラシーの高い、しかし賃金が比較的低い国々に、私たちが作った広告やポータルのデザインやコンセプトの、プロダクションやプログラミングの外注を出していたからだ。

 

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そこで、会ったことのない人よりも、一度でも会ったことのある人の方が、圧倒的にスムーズに仕事が出来る、という事を経験していた。これだけインフラが整って来ても、人類の方が遠隔で仕事をするのに”まだ”適合していないのではないか。声や文字だけの情報伝達では伝わらないものがまだ沢山あって、会うことによって得られる情報、見た目や仕草、癖、雰囲気や物腰、匂いや手触り、品格や知性などを知ることは、コミニケーションを助ける要素になるに違いない。

 

そういう理由もあって、今回も数回、大事な局面にはフランクフルトとベルリン両都市に行き、共同作業する人たちと会って、一緒に仕事をする機会を設けている。

 

しかし、もっと遠隔勤務の一般化が進み、ある業界、例えば情報産業では、物理的に集まって定時まで働くことよりも能率が良いことが、広く認知されるであろう数年後には、このような考え、リアルで会ったほうが仕事が捗るよね、はノスタルジーとして懐かしがられるのに違いない。