磯貝 浩一郎、koichiro isogai, フリーランス、

ドイツ、アートディレクター日記

海外でフリーランスや、クリエイティブ職に興味がある人達に向けて

クラウドファンディングやってみた

f:id:koisogai:20180119065749j:plain

OriBon - The First Origami Plant Pot

こんにちは、北ドイツのハンブルグでアートディレクターをしています、コイです。今日は、製品が完成していない段階でプレゼンテーションをして資金を募い、集まったお金でそのプロジェクトを完成させ、その後に出資者に製品やそれに見合ったものを送る、という新しいビジネスモデルのクラウドファンディングについてお話ししたいと思います。

 

クラウドファンディングってなによ?

ずっと取り組んでいた自分自身のプロジェクトがいよいよ佳境に入り、クラウドファンディングの最大手、キックスターター上で先日、公開しました。世界中の人からアイデアに対して出資を受けることが出来る、と、書いていてもそれこそ雲をつかむ様な話(クラウドは雲ではなく、この場合、群衆という意味ですが)に聞こえてしまいますね笑。

20世紀のルールからのパラダイムシフト

元銀行員の私の父に、クラウドファンディングで出資を募ることを話したら、なぜ知らない人に出資する人達がいるのかが分からないと言っていました。彼のいうことももっともですね笑。

 一言で言えば、情報産業が発達し、世界中で既存の産業から社会の仕組みなども含めた、ありとあらゆることに影響を及ぼしている産業革命とも言える大きな変化が社会と世界のルールを変えているのですが、新しいプレーヤーには歓迎されている反面、既得権益の周りにいる人たちからは忌み嫌われ、反発を招いています。このブログでも度々指摘していますが、これは世界規模、人類規模で起こっていることなので、止めることはもちろん、それを遅らすことさえできません。

 民主的な仕組み

私のような小さな製作者でも物を作る際に必要な資金を集めることができたり、インターネットを使って世界中にモノやサービスを売ることができるという可能性は、今まで無かったことに違いなく、前世紀的思考で普通に考えると、あり得ない、不可能でしかないことなのですが、ここ数年の情報産業の発展により、すっかり可能になってしまいました。

 クラウドファンディングに参加するにあたっての準備 

実はここの敷居がとても高い! 自分のアイデアを、分かりやすく、簡潔に、しかし魅力的にプレゼンテーションすることが求められます。私はグラフィックデザイナーで、ビジュアルコミニケーションを生業にしているので、ここはあまり問題になりませんでしたが、アイデアを視覚化することが不得手な人は、フリーランスに外注することで解決できるかと思います。

 また、世界中に伝えたいわけですから、言語は当然英語です。これも我々日本人には敷居が高いですが、上記の通り、外注することによって解決が図れます。

 いきなり敷居の高い話をしてしまいましたが、一番大切なのは、もちろんアイデアです。どんなに素晴らしいプレゼンテーションを作っても、アイデア自体が人の心を動かし、財布の紐を緩める力がないと、あなたのプロジェクトはすぐに、次から次へと発表される新しいプロジェクトに埋れてしまうでしょう。

 実情はどうなのか?

ここからは少し狡っからい話です。前記したクラウドファンディングの革新性や、民主的な仕組みとは少し乖離しているかもしれません。

 悲観的な事実は、世界中でクラウドファンディングを利用したスタートアッププロジェクトは毎日(!)5万件もローンチされているということです。つまり、良いアイデア、説得力があり人を魅了するプレゼンテーションだけでは成功するに十分でない、というのが実情です。

一言で言えば、この世は金、地獄の沙汰も金次第という資本主義のダークサイドは、新しく発生したプラットフォームすら例外なく支配しています。

 砂糖に群がるアリのような業者

ローンチしたその日から、毎日山のようなメールが届きました。そのどれもが、プロジェクトを成功させるために必要なアクションという誘いでした、もちろん、どれも有料で。

 例えば、マーケティング会社、プロモーション会社、ブロガー、インフルエンサー、SNS、ウェブマガジン、個人、団体を問わず、ありとあらゆる値段で(5€ から数百、数千ユーロ)オファーが来ました。すごいのは、キックスターター上のランキングを(不正?)操作(!)する誘い(1日4050)などもありました。

 前記したように、プロジェクトがキックスターターのプラットフォームで上の方に表示されなければ、人の目につかないわけだし、外部から人を誘導しなければ、やはり同じく埋れていってしまう。そのプロジェクトを人の目につくようにするには、何らかの形で宣伝しなければいけません。

 ナイーブな考えでは、プロジェクトを成功させることができない

結果、私のプロジェクトは目標金額の資金を集めることができず、頓挫してしまいました。私のアイデアに人々を魅了する要素が欠落していた、ということが最大の原因であると自省していますが、それと同じくらい重要な要素、宣伝に対して、ナイーブすぎました。

 つまりこれが結論です。宣伝無くしてクラウドファンディングの成功はない。

 ここまで読み進めていただいて、ありがとうございました。これがクラウドファンディングの実情についての私の考察で、実際私のプロジェクトがどのように動いたのか、業者をどのように使い、いくらぐらい払って、どのようにランキングが変化したのか、などのお話も赤裸々にしたいと思いましたが、長くなってしまったので、次回に譲ります。

保存保存

保存保存