磯貝 浩一郎、koichiro isogai, フリーランス、

ドイツ、アートディレクター日記

海外でフリーランスや、クリエイティブ職に興味がある人達に向けて

ブルカでモグモグ

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今日は、デザインとはあまり関係がない話、イスラームの服装について、それをめぐるドイツの状況のお話ししたいと思います。

 

 

フランスで禁止された、イスラーム原理主義の女性の衣服

ヒジャブと呼ばれる、イスラームの女性が被る髪の毛を隠すスカーフのような衣服がある。私の住むハンブルクでそれを見かけない日はない、と断言できるけど、目以外全て隠す衣服、ブルカを、見かけることは少ない。それはイスラーム教徒が少ないからではなく、ブルカがイスラームの中でもかなり厳格な、原理主義者が支持するものだからである。


どうやってブルカで食事するのか?

先日、トルコのレストランで昼食を取っていたら、隣の席に頭のてっぺんから踵まで黒ずくめブルカを被った2人組の女性と女児(は普通に洋服)が座り、どう食事するのか興味をそそられた。隠していなかったら興味も湧かないのに、隠しているからもっと興味が湧く、というパラドックスはさておき、さて、物理的にどうするのだろう。

飲み物が運ばれてきた

どうやって飲むのだろうと思っていたら、口を隠す布の下にコップを持って行って、ストローで飲んでいた。つまりコップも手も見えないのだ。


次に食事が運ばれてきた

 ど、どうするの、これ? レストランの隣に座った人、しかも女性をじろじろ見ることははばかられるが、こっそりチラ見していたら、パンは飲み物と同じ、下の口を隠す布の中に手を入れて食べていてた。さて、とろけるチーズがたっぷりかかったラザニアはどうするのだろう?


どうやってラザニアを食べるのだろう?

実際は驚くようなことは何もなく、下の口を隠す布をめくってフォークを持っていっただけなのだが、なるたけ人目につかないように、動作も速く、もぐもぐするときはその布は元の位置に戻り、口を隠している。


ドイツ人はどう思っている?

今日見た光景を、同僚や友達に話したところ、一様に、それなりに強い否定的な反応があった。

 

例えば私がここで着物を着て歩いていてもなんの問題もないだろう。むしろ素敵ね、っていわれるかもしれない。


しかしブルカは、ヨーロッパ人にしたら女性に対する抑圧の象徴、精神的に前近代的、そしてイスラーム原理主義を彷彿とさせる。いわゆる民族衣装とは少し違った意味合いを持つ、ヨーロッパ人には受け入れがたいもののようだ。


子供はどう思っている?

ドイツの学校に通う9歳の娘に、今日の話とブルカが何かを説明したら、見たことがあるらしく、納得していた。きっと学校にもイスラームの背景の親を持つ子がいるのだろう。


ドイツ人とは? 


学校や職場、近所に日常的にイスラーム教徒がいる移民国家ドイツでは、フランスで起こったような鋭い対立は今のところ少ない。


でも、サッカードイツ代表のボアテングが言っていた、勝てばドイツ人として扱われ、負ければトルコ人と呼ばれる、という言葉に表れているように、根深い摩擦が無いはずがない。


先のブルカを被った女性たちは、流暢なドイツ語で会話をしていた。イスラームの人たちがドイツ語で話すのは全く驚くようなことではないのだが、ブルカのようなイスラーム色の強い衣装の女性たちが、自身の子供も含め、大人同士の会話にもドイツ語を使っていた事にドイツの多様性と、今まで見かけることが少なかったブルカをまとった、ドイツ語で同教徒の友達と話すようなドイツで生まれ育ったと思われる、原理主義を彷彿させるイスラーム教徒を目にするようになった事に、私の周りも含め、世界が変わってきていることを感じさせた。