磯貝 浩一郎、koichiro isogai, フリーランス、

ドイツ、アートディレクター日記

海外でフリーランスや、クリエイティブ職に興味がある人達に向けて

金儲けのために生まれたんじゃないぜ

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Title: 金儲けのために生まれたんじゃないぜ

 

デザインビジネスのお話し

このブログは、海外に住む日本人フリーランスデザイナーが、どう仕事をしているか、というお話をしようと始めたのですが、フリーランスには厳しい守秘義務があったりして、なかなか詳細をお伝えすることができない、ということに今更気づきました笑

そんなわけで、今日もデザインの話ではなく、最近始めた副業と趣味を兼ねた、日本人旅行者のガイドをしたお話をしたいと思います。しかし、IT業界の話も含みますので、そんなにブログの趣旨から外れた話にはならない、ことを祈ります。


トラベロコが個人旅行を変える

日本のIT系仲介サービスのトラベロコ (Traveloco) をご存知でしょうか? ざっくりいうと、海外を訪れる日本人旅行者と、現地に住む日本人(ここがポイント)ロコ(居住者)を繋げて、サービスを提供させ、手数料を取る、というもので、民泊大手のエアービーエヌビー (AirB&B)、タクシー業界を脅かしているウーバー (Uber) よろしく、スマートフォンがインフラと化している昨今、とても熱いプラットフォームビジネスです。


プラットフォームビジネス

日本人に特化したユニークなプラットフォームビジネスの仕組みに興味があったので登録してみましたが、使ってみるとすぐにとても面白いポテンシャルがあることに気づかされました。前記のIT系の仲介サービスはすべて、既存の産業の仕組みを破壊するポテンシャルを持っていますが、本質は、サービスを提供する側と、される側をITで直接繋げ、今まで中間に幾層もあった複雑な手続きや仲介業者を排除し、垣根を低くし、安価にする仕組み、と言えるのではないでしょうか。いや、それらのプラットフォーマーが、中間マージンを取るには違いないのですが、それにしても既存の仕組みに比べると随分シンプルな構造になっています。そのサービスを詳しく知りたい方は、ご自分で調べていただくとして、ここでは私の考察、体験と感想を共有したいと思います。


旅慣れた人が使っている

結論から言うと、前記のサービスは今までの海外旅行体験を変えると思います。今までは初めて訪れる言葉もわからない場所でできることは限られていました。ガイドブックに載っている場所を訪れたり、大通りを歩き、ショッピングし、観光客向けのお店で食事する、という浅い経験が中心にならざるを得なかったでしょう。もし運よくあなたの友達がそこに住んでいたりすれば、もう少し深い体験もできるかもしれませんが、そんなに都合よく訪れるところに、友達は住んでいませんね。

このサービスは、そこに住む、そこを熟知した人が、ローカル情報を駆使して、つまり地元の人に人気があるレストランや、予約なしでは参加できない事や、現地に住んでいなければ知り得ないコンサートやパーティ、オープニングセレモニーに参加することもなど、友達に案内してもらうのにほど近い経験ができるのです。そして、そういう深い体験を求めている人は、たいてい旅慣れている人が多い気がします。


今まで私が旅行者に提供した経験

たいてい、そういう経験を求める、好奇心の旺盛な方は、女性が圧倒的に多いと言わざるを得ません。日本人男性、頑張って笑!

個人情報なのであまり詳しくは描写できませんが、今まで私がハンブルグを案内した方である歯科医の若い女性は、ハンブルグの盛り場のレゲエバーやクラブをホッピングし、ドイツのサウナを経験してみたい、そしてドイツの歯医者に行ってみたい笑、という濃い希望をお持ちで、全て経験されました。 すごい好奇心! 

ある60代のジャーナリスト(?)の女性は、やはりハンブルグの歓楽街にある有名な赤線をのぞいてみたい、という希望をお持ちで、そこには残念ながら女性は入れないので、その回りを歩き、ハンブルグで一番古いバーに入り、夜の街の雰囲気を安全に、女性一人旅で味わうことが出来ました。

新婚旅行でいらしたカップルは、奥様が子供の頃からキャプテン翼の大ファンで、ブンデスリーガの人気のある試合を巨大なスタジアムで観戦し、子供の頃からの巡礼の夢を叶え、地元の人に人気のある予約の取れないレストランで、超絶美味しい肉とワインを楽しみました。

私もすべてご一緒し、私の分も支払ってもらった上に、おこずかい程度ではありますが、報酬もいただきました。そして、今までご案内したすべての方は、ハンブルグの都市となりをとても気に入り、なかなか味わえない、濃い時間を楽しんで、とても喜んでらっしゃいました。

これは楽しい! 人に感謝され、お金までもらえるとは!


私も自分で利用してみたら

先日、ベネチアを訪れることがありました。有名な話ですが、8万人の人口のベネチアは年間2000万人を上まる訪問者を抱え、オーバーツーリズムとよばれています。魅力ある場所ではあるけれど旅行者が異常に多く、用意されたツーリズムから抜け出すのはとても難しい土地に違いありません。旅行者は、観光客向けの高めのレストランやカフェ、おきまりのコースをなぞることが多いのではないでしょうか。

 

そこで前出のサービス、トラベロコを使い、日本人建築家でベネチア在住の方を探し、ビエンナーレという建築祭の中でベネチア建築の見学と、地元の人が行く美味しいレストランや、甘いクロワッサンがある素敵なカフェに連れて行ってもらいました。彼女はここの住人なので当然、合理的に、早く、面白いところを選んで、安く移動する方法を知っています。また、ベネチアの裏話であったり、触りではありますが、彼女がなぜ、どうやってここに住んでいるのか、ベネチアをいかに愛しているか、などの人間的な面を、ワインを飲みながら聞けたことは楽しく、ベネチアをとても身近に感じたひと時でした。

次の日、彼女無しで回った観光、食事などのクオリティーと比べると、雲泥の差でした。


大手旅行代理店からのオファーを受けてみたら

これらの良い経験に味をしめて、某日系大手旅行代理店のガイドのオファーを初めて受けてみました。本職としてではないので団体客の案内なら受けなかったと思いますが、そのオファーは女性一人を、やはり繁華街にあるライブハウスまでお連れして、コンサートを鑑賞し、その最中の安全確保、そしてホテルまでお届けする、という、私にしたら朝飯前の様なものだったので、受けてみました。

その方が旅行代理店にどのくらい支払われているかは知る由もなく、知る必要もないのですが、前出のトラベロコとは全く違うレベルの金額が動いているでしょう。そのせいかはわかりませんが、今回のタスクは、今までのような楽しい経験からは程遠い、うんざりするようなものになりました。その方や、代理店の悪口を言うために私の時間を使ってここに記している訳ではないので詳細は割愛しますが、一言で言うと、人間として扱われなかった、ということでしょうか。サービスを求めてお金を払い依頼されているのだから、私個人のことはそれ程気にしなくても良いのですが、それでも生身の人間ですから、道具の様に扱われると、傷ついてしまいます笑。前記の、トラベロコではなかった扱いでしたが、それはプラットフォームの問題でしょうか? または人の問題でしょうか? それともお金の話でしょうか笑?

 

まとめ

我々人類は、いわゆる第4次産業革命の最中にいて、20世紀までとはずいぶん違う世界に住んでいますし、これからも大きな変化が訪れることは、止められません。上記のプラットフォームビジネスが、既存の業界を破壊するのは時間の問題で、法律改正などで対処しても、自らを大きく変えない限りどんどん隅に追いやられることは、歴史が証明しています。生き残りたかったら、今までのあり方に疑問を持ち、世の中を俯瞰し、大きな流れに向かって進化し続けるしかないのではないでしょうか。

 

ここまで読み進めていただいて、ありがとうございました。

ドイツの諺に、「人生はポニーホフ(仔馬がいる草原)ではない」(Das Leben ist kein Ponyhof)、という、ありがたい教えがあります。これは、人生、楽しいことばかりではないよ、と言う教訓で、その通りなのですが、それを踏まえた上で人生を楽しみたいものです。我々は、お金儲けのために生まれたのではないですから。